こんにちは。実況の立野純です。
前節FⅡ戦から中40日弱、久々の本場開催は、年に一度のデイレース、記念開催です。 近鉄四日市駅前の商店街にも、開催告知の横断幕が掲げられていました。
今年の決勝にはS級S班が4選手。実に豪華な顔ぶれとなりましたが、 そのS班相手に見事優勝を飾ったのは、地元の柴崎淳選手(三重・91期)。
前検日から、緊張した様子はゼロ!昨年覇者としての気負いもなく、むしろ 「挑戦者の気持ち。いつも通り、力を出し切るだけ」という、本当に普段どおりの柴崎淳選手でした。
決勝のジャン4コーナーあたりで、いったんバックを踏んだときは「どうかな?」と思いましたが、 バックで立て直して捲っての優勝!地元ホームバンクの記念連覇という偉業を成し遂げました!…とは言え、本人は「偉業」 とは思っていないでしょう。目標は、まだまだ高いところ。GⅠ戦では、まだ上位戦進出がありませんから、 今後はさらに上のレベルでの活躍を期待したいですね。
さて、ここでは前検日に取材した選手の中から、四日市初出走となった2選手を取り上げます。
まずは、芦澤大輔選手(茨城・90期)。
芦澤選手のデビューは、2005年7月。当時は、今のようなチャレンジ戦がなく、 準決勝に上がればいきなりA級上位選手と戦うシステムでしたが、デビュー7場所目の平塚で早くも初優勝(完全V)。翌年には、 熊本のルーキーチャンピオンレース(4着)にも出走するなど、デビューから順調な滑り出し。昨年10月には、S級初優勝も飾っていました。
ところが、ヘルニアの影響で、昨年秋から4か月弱に渡る長欠。 今年2月末の和歌山で復帰したものの、2節走って(いずれも優出しましたが)、また1か月半の欠場。GWの立川で復帰したものの、 7月~9月はまた欠場。順調さを欠いていました。
10月14日からの宇都宮戦で再々復帰。今節の四日市記念は、復帰2戦目でした。
「ヘルニアの手術で、しばらく休んでいました。練習は7月くらいから始めました。 まだまだ万全と言える感じではないんですが、直前の宇都宮よりは上向きだと思います」
その宇都宮では、選抜スタートで8・4・5着。
「宇都宮での成績はよくなく、感触としても『まだまだかなぁ…』と思いました。でも、 久々にバンクに出られたのが嬉しかったですね!」
まだ本格復調は先のようですが、そんな芦澤選手に、理想のスタイルを聞いてみました。
「『物おじせずに、何でも!』ですね。目標がなければ、 一番強い先行の番手に競り込んで、競り勝って、そして競走でも勝って!…というのをイメージしています。それで、 いざとなれば自力も出せる…というのが理想です。でも、まだまだですね」
芦澤選手は兄弟レーサー。弟の辰弘選手(95期)は、 9月豊橋で、ルーキーチャンピオンに輝きました。「ヘルニアで苦しんでいる兄に、良い報告ができる」という優勝コメントは、 まだ記憶に新しいところです。
「僕も、優勝コメントは聞いていましたよ。聞いてて嬉しくてね…。 いい励みになりましたよ!弟とは、普段も街道中心に、一緒に練習しています」
非常に礼儀正しく、一言一言丁寧に取材に応じてくれた芦澤選手。今期初の1班。追い込み選手として、 これから注目の選手であることは間違いないでしょう。
2人目は、同じく関東から。鈴木庸之選手(新潟・92期)。
鈴木選手は、今期が初のS級。昇級してからはFⅠ戦を走っていましたが、今回が初の記念参加。 まだまだ中部地区には馴染みのない選手ですので、大きなレースで名前を売っていきたいところです。
成績を見ると、四日市参戦前の2節では、予選を1着クリア(ともに7番手捲り)。 昇級後の予選では9着を2本続けてしまいましたが、ここにきて6番車以上の力を発揮し、高配当を提供していました。
「S級に上がる前に肉離れをやってしまって、S級に上がったころはよくなかったんですが、 ここにきてS級にもだんだん慣れてきました。でも、成績は全然ダメですね…」
昇級後は準決勝に3回乗っていますが、いずれも9着。上位陣との差を感じている様子でした。
「持ち味ですか?ダッシュタイプですね。地脚はあまりないです。 位置取りには、あまりこだわりません。前からなら、捲りかカマシ。後ろ攻めなら、押さえ先行もやります。 とにかく、自力で力を出し切るレースをしたいですね」
前検日のデータを見ると、決まり手は『逃:0 捲:4 差:0 ク:0 BK:4』。これについて… 。
「最近バック本数が少ないんですよ。今、4本しかないですからね…。 10本くらいは付けたいですね!」
現状は「捲りが強い」という印象がある鈴木選手ですが、今後は先行策でも結果を出してくれそうです。 来期はA級となりますが、またすぐにS級に戻って、上のクラスで存分にスピードを見せてほしいものです。
最後にもう一人。今節、実況していて、一番印象に残っているのが、準決勝C。 大いに地元ファンを沸かせてくれたのが、柴崎俊光選手(三重・91期)。
昨年に続いての地元記念参戦でしたが、昨年とは雲泥の差!昨年は一次予選スタートでしたが、 今年は選抜スタート。しかも、もうちょっとで特選スタートだったのです。
「(競走得点が)28番手なんですよ…(上位27名が特選スタート)。 特選には0.02点足りませんでした」
少し(かなり?)残念そうな面も見えた前検定日でしたが、表情は至って明るいもの。 上位選手との差も縮まって、成績も上がってきました。前期にA級落ちを経験していますが、これが大きな原動力となっているようです。
「前期にA級に落ちたのは、いい勉強になりましたよ。 A級戦では人気になりましたけど、『人気に応えなければいけない』というプレッシャーに打ち勝っていく精神面が鍛えられました。 脚よりも、精神面の成長が大きいんじゃないですかね」
元々ダッシュ、スピードには定評のある柴崎選手ですが、 近況は押さえ先行でもある程度粘り込むレースも見せています。練習環境は申し分ないだけに、 精神面とともに、その辺りの脚も付いてきたように見えます。現に、二次予選Bでは、押さえ先行から僅差の3着に粘っていました(3着なので、 決まり手は付きませんが…)。
準決勝Cでは、藤田竜矢選手(埼玉・88期)の先行を4番手から捲って、 決勝はそこまで見えていました。が、そこは記念競輪。一流選手は、そう易々とは許してくれません。格上位の諸橋愛選手(新潟・79期) がきっちり差し切って1着。柴崎選手は2着で、順位決定A回りに。記念初優出、そして初の兄弟連係はお預けとなりましたが、 それらは遠いものではないことを感じさせるシリーズではなかったかと思います。
さて、記念も終わって、次節からは再びナイター開催です。これからはグッと冷え込む季節。場内には、 大型ハロゲンヒーターのような暖房も用意されますが、どうぞ防寒対策をしっかりなさって、本場で熱くなってください。 皆さまのお越しをお待ちしています。